「ふっ…うぅっ…。」

ステージから降りて舞台袖に移動すると、隣にいたりんかが泣いていた。

「りんか!?どうしたの?」

「引退…したくないよぉ…。」

そっか…。

もう引退なんだ。

私は思わずフルートを握りしめる。

今までの三年間、ずっと辛い練習をこのフルートと頑張ってきた。

でもそれはもう終わり。

そう思うと悲しくて…。

「理菜ぁ、泣かないでよ…。」
「だって…。」

気が付けば私も泣いていた。
そしてりんかと抱き合い引退する悲しさを噛み締めていた。