「凜奈っ!!!!」
ガラガラと勢い良く病室の扉が開き入ってきた女の子のお母さんとお医者さん。
お母さんは
「よかった…。よかった…。」
と、何度も繰り返しつぶやいていた。
「凜奈さん、具合はどうですか??」
「大丈夫です。」
「念の為安静にしていてくださいね。」
「はい。」
そう言って先生は病室から出て行った。
そして俺も病室を出ようとした時…。
「待って。」
と、女の子に呼び止められた。
「え…?」
「先生も聞いてね。お母さん。私、この先生の彼女さんの血液で…今を生きてるの…。」
女の子はさっき俺と話していた時のことをお母さんに話し始めた。
「この先生の彼女さんは脳腫瘍で高校生の時に死んじゃったんだって…。でも死ぬ前に人を助ける役に立ちたいと思って…血液を提供してくれた。もしこの血液がなかったら私は…死んでいたかもしれない。だから先生の彼女さんができなかったことをたくさんやって、彼女さんの分まで長く生きるから。」
そうはっきりと言った彼女の目には力強い光が宿っていたー。