そしてしばらくしてピクリと小さく動いたほそ長い中指。そしてその瞬間ー。

長いまつげが上に上がり二重の茶色い瞳が俺の目に映った。

「目…覚めたみたいだな…。」

俺は意識を取り戻した女の子にそう言い微笑むとナースコールを押して

「杉野凜奈さんが目を覚ましました。家族の方と医者の方は306号室に来てください。」

と言った。

「ここ…は…??」

茶色い瞳をキラキラと光らせ俺に問いかける女の子。

「ここは泉丘病院だよ。君は交通事故にあってここの病院に運ばれたんだ。出血が
ひどくてね。でも病院に血液のストックがあったから君は助かったんだ。」

俺は女の子にある程度の事情を説明した。
そして女の子は俺にこう問いかけた。

「その血液の…ストックは誰の血液なの…?私の血液型はRHマイナスのAB型…。2000人に1人って確率なのに…。ここには私と同じ血液のストックがあったの…??」

ドクンッー。

次第に早くなっていく俺の心臓の鼓動。

女の子の問いに答えようとしてもうまく口が動かなかった。

そしてしばらくして俺はゆっくりと口を動かし話し始めた。

RHマイナスのAB型の血液を持っていた人物の話を。