「ただいまから杉野凜奈さんの手術を始めます。」

静かな手術室で交通事故にあった女の子、杉野凜奈を助けるための手術が始まった。

まずは見えないところで出血していないか、いわゆる内出血していないかを調べる腹部超音波検査と造影剤を用いたCT検査をする。この腹部超音波検査は患者のベッドサイドでも行える検査で、体の表面から器具を当てるだけの痛みをともなわない検査だ。腹部超音波検査にかかる時間は数十秒と短くすぐ終わる。

そして出血がある場合は繰り返しこの腹部超音波検査を行うことによって出血が増えてくるかも調べられる。

この女の子の場合、体内での出血は無いようなので俺たち医者は傷口を塞ぐ作業を始めた。

血液をした輸血しながら細い糸で割れた組織を縫い合わせたり傷口を塞いだり。

そうして長い長い女の子の手術は無事に成功した。

手術が終わり手術室から出ると目を真っ赤に染めた母親らしき人が俺達のもとにヨロヨロと走ってきた。