プルルルルルルルッー。

理菜の墓からの帰り道を歩いていた時のこと。俺のケータイに電話がかかってきた。

「誰だ…?」

ケータイをかばんから取り出しディスプレイを見るとそれは俺の務めている「泉丘病院」からだった。

「もしもし?」

俺は泉丘病院からの電話を受けた。

『あ、もしもし!杉原先生ですか!?』

「あぁ、石橋か。どうした?」

電話の相手は石橋和則。
俺のひとつ下のアシスタントとかサポーターみたいなやつだ。

『杉原先生!今交通事故にあって女の子が一人病院に運ばれてきました!杉原先生今から急いで病院に戻ってこれますか!?』

「あぁ。今行く!」

俺は電話を切りバッグにケータイを入れると急いでタクシーをみつけ病院へ向かった。

もう理菜のように死ぬ人は見たくない。
俺がなんとしても…なんとしてでも助ける。
理菜が生きられなかった分、みんなに生きてもらうんだ。

病院に着くと現場は騒然としていた。
泣き叫ぶ母親と子供。
真っ青な顔をした男の人。きっと女の子をはねてしまった運転手だろう。