「ねぇねぇ!あの小説もう読んだー?」

「ん?あの小説って?」

「えー!知らないの!?今人気の小説だよ!」

帰り道を歩く俺の声にふと届いた声。
その声の主は女子高生だった。

「あー!もしかしてあれ!?」

「そーそー!一人のお医者さんが彼女のことを思って書いたっていう小説!」

「あれ人気ありすぎてやばいんでしょ?」

「そーみたいだよね。うちも速く読みたーい!」

どうやら女子高生はある本の話をしているようだった。

「本のタイトルなんだっけ?」

早く読みたいって思ってるのに本のタイトル分かんねぇのかよ。
と、心の中の叫びを胸に秘め一人ツッコミを入れつつ『また逢う日まで』だろ。
と脳内で考えていた。

「うーんと…あ!また逢う日までだ!!」

「そーそー!それそれ!!」

お。思い出したか。

「あの小説誰か持ってないかな?」

「あ、そういえば沙知が持ってるみたいだよ!」

「じゃああとで借りるか!」

「だねだねー!」

そう言って女子高生は帰っていった。