もうあの日から6年が経った。
今日は理菜の命日。

俺は久しぶりに行きつけの花屋で白い菊を何本か買いに来た。

「白い菊を六本ください。」

俺は店員さんにそう声をかけた。
店員さんは

「かしこまりました。少々お待ちください。」

というと、軽くお辞儀をし菊の花をとりに行った。
しばらくすると店員さんは白い菊を手に持ってきた。

「おまたせいたしました。こちらでよろしいでしょうか??」

「はい。大丈夫です。」

「では、白い菊を六本で…648円になります。」

俺は財布から小銭を出すと花を受け取り花屋をあとにし、理菜の墓へと向かった。

理菜の墓へ向かう途中、俺たちが通っていた桜木中学校の前を通った。懐かしい景色に思わず足が止まる。桜木中学校は俺達が通っていた頃とあまり変わってはいなかった。広い校庭。少し時間のずれた大きな時計。後者の近くにある大きな桜の木…。

「6年たった今でもここは何一つ変わらないんだな。」

俺はフッと笑うと理菜の墓を目指しまた歩き始めた。

理菜の墓にはもうすでに何本かの花と線香が置かれていた。きっとりんかか理菜のお母さんだろう。俺は花をバランスよくさし、線香を入れ、自分の手目の前で静かに手を合わせた。

理菜。お前が死んでからもう6年が経ったよ。りんかはおまえが応援してくれたネイリストの夢を叶えるために頑張って、去年ネイリストになれたみたいだ。

俺はなんと医者になったんだ。
もうお前のように大切な人が死んでまわりが悲しむ姿を見たくない。って思ったから…。
理菜は忘れてって言ってたけどそう簡単に忘れることなんてできねぇよ。俺は今でもお前を忘れることなく生きてる。

理菜。天国でもちゃんと暮らしてるか?
元気でやっていってるか?
俺と理菜はいま遠すぎる遠距離恋愛だけど我慢しろよな?
また再び出会うことができたらまたたくさん遊んで話して出掛けて…。たくさんの思い出を作ろう。
俺はその日が来るのを楽しみにしてるからな。また逢う日まで…。

俺は心の中でそう理菜に話しかけるとめを開け再び家に帰る道を歩き始めた。