アンサンブルコンテスト当日。さすがに理菜も緊張してるのがうちにも分かったよ。理菜の親友だからね。もちろんすぐ分かった。でも理菜は心配かけないようにって思ってたのか明るく振る舞ってたよね。でもやっぱり緊張してるのは事実で。うちが声をかけたら少し緊張が収まったみたいでよかったです。ステージに立って演奏した瞬間、理菜のフルートの音色はもう聞けないのかぁ。って思って泣きそうになっちゃったの。でも我慢して最後までやりきったよ。

吹奏楽部を引退した少し後。急に理菜が道端に頭が痛いって倒れたの覚えてる?あれが脳腫瘍を知らせる警告だったんだね。でもあの時のうちはとにかくパニックになって慌ててたからそんなことを考える余裕もなかった。うちの存在がこれから理菜を苦しめていくとも気づかずにのんきに受験終わった後も高校生になっても理菜は風引いたのかな?くらいに考えてた。もっとよく考えればよかった。ごめんね。理菜。