「お母さん、理菜の部屋に入ってもいいですか?」

海斗がそう聞くと理菜のお母さんは「どうぞ」と言って部屋に入れてくれた。そして部屋に私と海斗が入るとお母さんはフラフラとどこかへ行ってしまった。

理菜の部屋に入った瞬間、なつかしい理菜の香りがした。ぐるりと部屋を見回すと前来た時と同じで何も変わっていなかった。
ベットの位置、机においてあるペン立て。端にあるクマのぬいぐるみ。私が理菜の誕生日の時にプレゼントとして作ってあげたアルバム。そして理菜と私が写った写真館飾ってあるコルクボード…。

コルクボードに画びょうで刺してある私と理菜の写真は今ではすごく懐かしい物に感じられた。

理菜は前からものを大切にする子だったから汚れも壊れた部分もなく綺麗に飾ってあった。

「じゃあ引き出し順番に開けてくか…。」

「うん…。」

理菜は一体何を机の引き出しに入れておいたんだろう。