理菜…理菜…。

「りなぁ…りなぁっ!!」

そう。あの日見たんだ。理菜が死ぬ瞬間を。引きつった顔で笑顔を見せようとする理菜の顔を。そして笑顔を作った瞬間聞こえたピーっていう機械音も。みんな見てたんだ。聞いてたんだ。

「りんか、あの日俺と理菜は海に出かけてたんだ。理菜が急に行きたいって言い出して。それで倒れる間際に俺に言ったんだ。『机の引き出し』って。もしかしたら…何かあるのかもしれない。」

「理菜…。」

「りんか、行こう。理菜の部屋に。」

倒れる間際に海斗に伝えた言葉。
もしかすると海斗の言うとおり何かがあるのかもしれない。

私は小さく黙って頷くと海斗とともに理菜の家に向かった。