「…屋上?」
海斗は静かにうなずくと私を屋上にある綺麗なベンチにゆっくりとおろした。
そして私に黒いケースを渡した。
「…!!この黒いケースって…!」
私がケースを開けるとそこには懐かしいフルートが大事にしまってあった。
「なんで…これ海斗が持ってんの…?」
泣き目で聞く私に
「中学校から借りてきた!どうしても使いたいんです!って言ったら貸してくれたー!」
「海斗…もう高校生なのにぃ…。」
ニヒッと笑う海斗に私は言葉にならない感謝があふれてきた。
「…ありがとうっ…ありがとうっ…。」
「ほら、お礼はいいからフルート吹いてみろよ!」
少し照れながらフルートを指差す海斗。