約束は、学校が終わった後の6時からだった。
「あっ、忘れてた」
早朝、俺はショックを受けていた。
今日、梨穂から貰ったマフラーを俺は付けて行く。
だから梨穂にも俺からのを付けて欲しいと、用意していたのだ。
もちろん、買ったものだけど一生懸命選んだものだ。
それを最後のチャンスで渡しそびれるなんて…。
最悪だー…。
どよんとした思いで学校に向かった。
「おっはよー、葵」
「あー…おはよ」
「何だ?元気ね-なー」
「うっせ」
放課後、急いで梨穂の学校行ってみるか。
俺はそう決めて、放課後を待ち望んだ。
キーンコーン
カーンコーン…。
チャイムと共に、俺は帰り支度をした。
その様子が気になってか、ダチが俺に声をかける。
「どうしたんだ?そんなに急いで…」
「梨穂に早く渡さなきゃいけない物があるんだ」
“フーン”と言いながら“頑張れよー”と言ってくるダチに俺は“じゃーな”と言いながら教室を後にした。