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資料を半分以上もたせてしまった…。
申し訳ない気持ちで桜河君のほうを見るとニコッと笑顔を返してくれた。

ちなみに今私たちがいるのは四階の長く続いている廊下。
先ほど階段を上り終わり永遠と続きそうな廊下をひたすら歩いている。

無駄に広いこの校舎は結構綺麗だが流石に私達以外誰もいないのと薄暗さで寒気さえ感じる。

それに私達が目指している体育の資料室はその廊下の一番奥だ。

(最悪…)

進級一日目でこんな雑用を押し付けられてhappyな人はいないだろう。

(でも…桜河君が一緒で良かった。もし一人だったら…)
と考えるとブルルッと寒気がする。

にしても私達あの会話を最後に一言も話していない。
今更だけど…とても気まずい。


(何を話したらいいんだろう…。男の子と話すなんて今までなかったからな。)

こんなときはるちゃんみたいに明るくて元気で話すの上手だったら良かったのに…と思う。

「はぁ…」

「どうしたの?」

思わず漏れてしまったため息に桜河君が問いかける

「ご、ごめんねっ!なんでもないのっ!あ、それより資料平気?重くないっ?」

「こんなの全然平気だよ。ていうかまた緊張してる?」

「えっ!?な、なんで分かったの…?」

この人はエスパーなの?なんてアホな事を考えてしまった。

「目、また泳いでるよ?分かり易いね」

クスッと笑う桜河君の姿にかぁっっと顔が熱くなる。

「な、なにをっ!…あっ!」

ゴンッ

「いったぁー…」

動揺した私は思い資料を1つ腕から落としてしまった。
運悪く足の上に落ち、痛みを伴う。

「大丈夫?動揺しすぎでしょ」

またしても笑われた…恥ずかしい…

急いで資料を取ろうとしてしゃがみ、資料を持ち直していると私に影ができた。

パッと上を見ると間近に桜河君の顔。

え?…か、かか、か顔!?

「熱でもあるんじゃない?」

そう言いおデコをくっつけようとする桜河君を押し

「だっ大丈夫だから!心配ありがと!」

といい勢い良く立ち上がりダッシュする!
ますます顔が赤くなり、それを覚ますかのように風が吹く。

それは私が走ったからなのか、それともある筈ない外からの風なのか。