丘を登ると校門が見えてきた。


大勢の生徒の姿が見え、声が聞こえてくる。


ふと、人気のない方向に目を向けると、散りかけの桜の下に誰かがいるのに気がついた。


同じ高校の制服を来ている細身の女子生徒だ。


その少女は何故か、学校とは反対にある丘の下の方向を、一点に見つめている。


僕が何気なく視線を向けていると、何かを感じたのか少女は振り向き、目があってしまった。


その時、背後から何かゴツゴツしたものが僕の背中を叩いた。