「はい、今日からです。」


「頑張って行ってらっしゃいな。」


お婆さんが笑みを見せると、その目は余計に見えなくなった。


ヴァンパイアであることを思わさせないような、優しい笑顔だ。


「はい、行ってきます。」


そう言って僕は歩き出した。


普段、ヴァンパイアは人間と同じように過ごし、共存している。


最近では、人間とヴァンパイアが共に過ごしている家庭さえあるようだ。


ヴァンパイアと言えば太陽の光に当たってはいけないことを連想するかも知れないが、実際は問題なく昼間も普通に過ごしている。


ヴァンパイアが口にすることが出来る唯一の人間の血液は、政府が集めたものを配布しているようで、それによって何とか人を襲うようなことは押さえられている。