僕の名前は、吾妻 勇利(あづま ゆうり)。
桜ヶ丘高校に通うごく普通の高校三年。


僕はいつもの日課で自分の弁当を作り始めた。


「今日も遅くなりそうだから、夕飯適当に食べといて!」


「はいはい。」


母と子だけで暮らす家は色々と大変だ。


父は僕がまだ小さい頃、交通事故で亡くなったらしい。顔さえもあまりよく覚えていない。


「じゃ、行ってきまーす!」


弁当を作り終える頃になって玄関の方から大きな声がした。


「行ってらっしゃい。」


バタンッとドアが閉まる音がした。