柚菜遅いな...
文化祭だから迷ってんのかな...
でも連絡来ないしな...


「あ、ねぇそこのメイド!」
後ろから誰かに声をかけられた。
てっきりお客さんだと思って振り返ると
「やっぱ、あのバイトの...」
そこにいたのは佳奈さんの彼氏...
「あ、佳奈さんの...」
「彼氏じゃないよ、元カレ...。」
「えっ...?」
「この前フラれた。やっぱ諦められない。って。」
さっきえぐられたばかりの傷がさらにえぐられた...。
「で、俺も諦められないから来たってこと。」
「あ、なるほど...」
「佳奈見なかった?」
「見てないです...でもたぶん零先輩と一緒に...」
「やっぱな。じゃあな!」
その人はきっと2人を探すんだろう...
え、ちょっと待って...これ絶対に修羅場になるよね...零先輩悪くないのに...
「あ、陽菜いた!」
「あ、柚菜...!」
「陽菜あのさ、わたし...」
「柚菜ごめん後にして。」
私は零先輩を探して走った。
途中で零先輩たちの噂も聞こえた。
それでも私は走った。
「私だって諦められないから...」
いた...!!!!
2人は仲良さそうに歩いている。
私は上からそれを見ることしか出来なかった。足が前に進まなくて...
すると、零先輩と目が合ってしまった。
私は思わず近くの教室に入った。
その教室は使われてないみたいで誰もいなかった。
「やっぱ無理だよ...頑張るって言ったのに...」
もぅなくなったはずの涙がどんどん出てくる。
ガラガラ...
教室に誰かが入ってきた。
私は急いで涙を拭いた。
「すみません、今出ま...」
そこには零先輩が立っていた...。
「零先輩...」
零先輩は私の横に座った。
「佳奈さんはいいんですか...?」
「うん。帰ったから。」
「そーですか。」
.......................................。
どちらも口を開かず沈黙が続いた。
「私仕事戻りますね...」
私が立ち上がると、パッと腕を掴まれた。