何も考えられなくて頭真っ白で...
ドンッ...
「あ、ごめんなさい...」
「あ、さっきの...!」
私がぶつかったのはさっきの浴衣の彼女...
「えっ...なんで......」
その横にいたのは...紛れもなく、そう零先輩だった...。
「零先輩...」
「あ...おぅ...。」
「ん?零くん知り合い?」
「あ、後輩。」
「そーだったんだー!さっきはどーも、佐々木 佳菜です!零くんとは中学一緒で。」
「なんで、なんであなたが...だってさっきの人...」
「ん?あ、あれは友達。」
「違う!絶対違う!なんでなの?なんで分からないのよー!零先輩なんて...バカー!」
私はその場を走り去った。
どんどん涙が出てくる前がぼやけて見えないけどとにかく走った。

「待って。」
腕を掴まれた。掴んだのは零先輩だった。
「離してください...!」
「どーしたの?」
「ほっといてください!」
「いいから話せよ。」
「なんで、なんで?あの人さっき彼氏といたんですよ?なのに先輩のとこになんでいるんですか?話ってなんだったんですか?今さら来て、先輩のことまだ好きって言って信じるん...」
「信じるよ。」
え.........。
「俺はあいつに彼氏がいたってあいつを信じるよ。お前にあいつの何が分かるんだよ。聞いてりゃあいつが悪いって...二度と佳菜の悪口言うな...」
こんな零先輩見たことない...
私は家まで走って帰った。


「おかえ...陽菜...?」
部屋に入ってベッドにダイブした。
涙が出なくなるまで泣いた。
コンコンッコンコンッコンコンッ
「陽菜!ねぇ陽菜!」
声で柚菜とわかった。
「入るよ...。」
入ってきた柚菜は家から飛び出てきたのが分かるくらい髪はボサボサでパジャマ姿だった。
そして何も言わずに私を抱きしめた。
「泣きな。思う存分泣きな!あんなやつ今すぐ忘れな。」
「でも私...」
「これ以上あんたが傷ついてるの見てらんない。」
柚菜の言葉は重くて優しくて私を包み込んでくれた。
私は泣いた、泣き続けた。柚菜はずっと私を抱きしめてくれた。