「……片倉くん?」



「それくらいの破壊力なんだよね。
妃莉ちゃんの“好き”って言葉と、そのうるんだ目は」



切なそうな、悲しそうな目を妃莉に向けて、片倉くんは足元の小石を蹴った。



「だから、その言葉と顔は。
好きな男の前だけにして」



「……え?」



「……って。
なに言ってんだろうね、俺。
ガラでもねー。
今のは、忘れて」



片倉くんは、数回首を横に振った。