『やっぱり…変?』



鏡の前で私が初挑戦してるのは
最近の若い子達の間で流行っている(はず)のつけまつげ。




もちろんそんな派手な物じゃなくて、ナチュラルな感じが売りの品物。





あれから少しでも
一ノ瀬さんに可愛いって言って欲しくてこんな恥ずかしい事にチャレンジしている私。




なんか私ばっかり頑張っちゃって悔しいけれど、


もしも、

もしもだよ?


これで、


「可愛いじゃん。」


とか言って貰えたら…!!



なんて一人で鏡の前で盛り上がり、いつもと少し違う私のまま家を出た。







オフィスに入って一番に私の変化に気付いてくれたのは意外にも梶野さん。




「なんか……」




『なんですか??』




次の言葉を期待しすぎて多分、目がキラキラな私。



「…まつげエクステでも行ったんですか?」




そう言いながらまじまじと私の顔を覗き込む梶野さん。




『違いますよ!
つけまつげですよ、つけまつげ♪』




私のテンションとは対照的に
ふーん、といいながらさほど興味もない様子。





『一ノ瀬さん!気付きますかね??
…可愛いとか…言ってくれますかね?』


聞いといて恥ずかしくなる私を冷めた目で見ながら口を開く。



「…あー、多分あの人気付いても言いませんよ。
可愛いなんて論外。」



『えー!
がっかりです…』





朝から肩を落としてしまう私を見て、
梶野さんはバカにしたように笑った。