「僕も・・・・守るから・・・・!」
「凛?」
「俺も、瑞希お兄ちゃん守るよ!だって――――――――」
瑞希お兄ちゃんの服を握りしめながら伝える。
「瑞希お兄ちゃんが大好きだから・・・・!」
言った後で、ちらっと彼の顔を見る。
瑞希お兄ちゃんは、目を丸くしてキョトンとしていたけど――――――
「・・・・・・・・・俺も凛が好きだよ。」
楽しそうな声でささやく。
そして、穏やかな目で私を見ながら言う。
「今夜はカプチーノにするか?イラストは、ハムスターな?凛みたいに、可愛いのにしようなー?」
か、可愛い!?
う、嬉しいセリフではあるけど~
「・・・・可愛いって、言わないでください・・・・」
今の私は、男の子。
絶対、からかってるよ。
瑞希お兄ちゃんの意地悪。
(でも、そんなところが好き・・・・)
気持ちとは裏腹で、嬉しくないと言う顔を作る。
これに彼は、笑顔で茶化してきた。
「あはははは!可愛い、可愛い♪凛は可愛いなぁ~?」
優しく抱きなおされて、髪に顔を埋められた。
そのまま、舟をこぐようにユラユラとゆれる。
「凛は~可愛い~良い子、良い子~♪」
「むぅ~」
不機嫌な振りしながら、瑞希お兄ちゃんへと身をゆだねる。
温かいぬくもり。
自分以外の人の体温。
「ちゃんと電話してやるからな?寂しん坊―?」
「うん・・・」
まるで子守唄のように、響く声。
返事代わりに体をくっつければ、小さく笑われた。
知らなかった。
こんなに心配されてたなんて。
(大事にされるなんて・・・・・・・)
だから気づかなかった。
「やれやれ・・・・・・なんとか仲直りできたみたいだなー?」
扉の向こうで、火のつたタバコをくわえ、にやけ顔で聞き耳を立てていた烈司さんがいたことに。
こうして私は、涙の臨時出入り禁止を食らった。
~ヤンキーアプローチする~完~