「その言葉を聞いて、安心したぜ。ほら、元気出せ!よしよし!」



私の心の葛藤を知らない瑞希お兄ちゃんは、無邪気にも私の頭をなではじめる。




「少しの間だから、我慢しろよ?そうだ!あとで、コーヒー飲ませてやるからな~?」



そう言って、私の顔をのぞき込む。

笑顔で体を抱き寄せる。


完全なご機嫌取り。




(いろいろ思うところはあるけど―――――――――)




「いい子で待てるよな?」

「・・・うん。」





癒しあふれる笑顔で言われ、首を縦に振る可愛い、わ・た・し!

可愛いというか、アホよね、アホ!

馬鹿な女ですよ、はい!





(気分は、天国から一気に地獄へ直行じゃない!?これというのも~!)



ちくしょー・・・・覚えてやがれ!



(あの色ボケ社長め!)





次に、私の前で瑞希お兄ちゃんをナンパしたら、トンファーで地球の裏側までぶっ飛ばしてやる!



その決意のもとに、私から瑞希お兄ちゃんへとくっつく。



ギュー!



「わっ!?凛、くっ付きすぎだぞ~?」

「いいでしょう!?当分、お兄ちゃん不足になるんですから!?」

「不足って・・・俺はカルシウムか?」

「いいの!ばかばかばかー!」


「あーはいはい、よしよし。手のかかる弟だな~?」




駄々っ子みたいに言えば、笑ってなだめられる。

そして、受け入れる動きで、力いっぱい私を抱きしめてくれた。




(は~瑞希お兄ちゃんの良い匂い・・・・♪体温ポカポカで気持ちいい・・・)




おかげで、密着度アップ。

嬉しいけど、明日からのことを考えればうれしくない。



「ほーら、すねるな、凛。愛してるからさ~」

「っ!?もう・・・・・そうやって、すぐからかうんだから・・・・!」

「あはははは!マジでだって!大事だから、本気で心配したんだぞ?色ボケ社長にセクハラされないかって・・・・」

「瑞希お兄ちゃん・・・・」

「まぁ、たとえそうなったとしても、凛は俺が守ってやる。」




守ってやる。



その一言が胸に刺さる。




(キュン♪と、くる・・・・)




トキメキに、後押しされて言った。