瑞希お兄ちゃんの心臓の音まで聞こえそうで、頭がふっとうしそうになる。
「み、みみみみ!?」
(こ、これ、どういうサービス!?)
「マジでよかった、凛・・・・!」
戸惑いながら固まっていれば、脱力しながら瑞希お兄ちゃんが言う。
「凛が・・・・俺の大事な凛が無事で・・・・」
「っ~~~!?」
(・・・・・瑞希お兄ちゃん・・・・!!)
穏やかに、やわらかく、安心した表情で言われた。
本当に心配されていたとわかる姿。
その顔を見ていたら、別の意味で泣けてきた。
「お兄ちゃん!」
魔法が解けるように、固まっていた体が動いた。
「ごめん・・・ごめんなさい・・・瑞希お兄ちゃん。」
大口叩いて、勝手に暴れて。
迷惑かけて。
「僕はただ―――――――――」
私はただ・・・あなたを・・・
「俺を助けたかったんだろう?」
「えっ!?」
私が言う前に、私の気持ちを口にした人。
「助けてくれて、ありがとな?」
「うっ・・・・・!?」
ずるい。
あんなに怒っておいて、不安にさせておいて。
(ありがとうなんて・・・・・ずるいよ・・・・!)
不意打ちでズルい!
「うぅ~~~~~~!!」
「よしよし、ごめんな・・・」
瑞希お兄ちゃんの服を掴んで、顔を押し付ける。
流れ出る涙は、布へと染みていく。
半分は私のバンダナに、半分は瑞希お兄ちゃんの袖へ・・・
「きついこと言ってごめんな?ごめんな、凛・・・?」
「お兄・・・ちゃ、ん・・・・!」
泣く私を引き寄せる。
それで、壁にもたれていた体が移動する。
重心を瑞希お兄ちゃんへと移る。
好きな人の腕の中で泣いた。
最後に泣いたのはいつだったか。
きっと、瑞希お兄ちゃんと初めて会った日以来だと思った。