「凛・・・あいつ、危ない奴なんだぞ・・・?なんで、飛び出してくるんだ・・・?」
「だって・・・瑞希お兄ちゃんに半年もストーカーしてるって、お客さんとお店の人が・・・」
「はあ!?そっち!?教えたの、烈司じゃなかったのかよ・・・!?」
「瑞希お兄ちゃん・・・すごく困ってた・・・我慢してるようにも見えて、だから―――――」
「我慢って・・・・」
私の言った言葉をつぶやくと、はーと大きく息を吐く。
「客商売なら、我慢は当たり前だ・・・。なんだよ、凛も気づくぐらいとか・・・俺ダメじゃん・・・」
「え!?え!?お兄ちゃん。」
グッと、私の方へ体重をかけながら壁へと押さえつける。
そしてそのまま、ズルズルと壁を滑るように下へと座り込む私達。
「瑞希お兄ちゃん!?どうしたの!?大丈夫!?」
「大丈夫じゃない。最悪だ、俺・・・・」
「ダメじゃないよ!瑞希お兄ちゃん・・・・悪くないもん!」
「いいや、俺は悪いね。」
そう言った唇が視界に映る。
「凛を巻き込んじまったから、悪いお兄ちゃんだ。」
「え?」
やっと見えたお兄ちゃんの顔はゆがんでいた。
「凛まで何かされたらどうしようって、すっげー焦ったんだぞ・・・・・!?」
心配そうな顔で私を見つめていた。
考えすぎかもしれないけど、今にも泣きそうなしょぼくれフェイス。
それでまさかと思う。
(自分のことより、私を心配して・・・・!?)
「お前に、凛に何かあったら、俺は―――――――」
「瑞希お兄ちゃ――――――――むきゅ!?」
問答無用で、再度、抱きしめられる。
あまりのことに腰が抜ける。
バランスも崩す。
(わぁああああああ!?)
そして、抱き合ったまま、ズルズルと一緒に床に座り込んだ。