(・・・・助かったの・・・?)



強烈キャラがいなくなった店内から、たくさんのため息がもれる。




「瑞希君、平気か!?」

「真田くーん!」




嫌な客の炭酸と合わせ、いっせいに従業員かけ寄ってくる。




「大丈夫かよ、瑞希君!凛、君も?」

「カズ君さん。」




その中には、さっきのスタッフさんもいた。

側にはOL2人もいた。







「大丈夫だった、坊や?凛君だっけ?」

「ダメよ、無茶したら~無事でよかったー?」


「す、すみません!大丈夫で・・・・!」


「大丈夫じゃない。」

「へ?」





怒った声がしたと持ったら、体が解放された。

そして腕をつかまれた。

今まで抱きしめてくれていた人に。





「み、瑞希お兄ちゃん?」






彼は私の顔を見てから―――――――









パァン!!



「あぅ!?」

(え・・・・・!?)



「瑞希っ!」

「瑞希君!?」








頬に走る痛み。





(叩かれた・・・・・?)






そう理解した瞬間、視界がゆがんだ。





「お・・・お兄ちゃん・・・・?」

「何であんなことしたんだ!?」





泣きそうな気持ちで呼べば、怖い顔で睨まれた。





「椅子を蹴り飛ばしたりして!?帰ってくれたからいいけど、なんか言ってこられたらどうする!?全部、お店に迷惑がかかるんだぞ!?」

「だっ・・・て、」

「もっと考えてから動け!」

「ご、ごめ・・・!」

「謝らなきゃいけないことなら、最初からするな!この馬鹿!!」





怒鳴られて、にらまれて、視線をそらされた。




(そんな・・・怒られた・・・・)




ショックで、呆然と立ち尽くす私。

それは周りも同じで、呆気にとられたような顔でこのやり取りを見ていた。

私から視線をそらした瑞希お兄ちゃんは、近くまでやってきたスタッフの1人に言った。