私のツッコミに、田渕が笑う。




「くっくっ・・・・俺は聞き分けの良い大人だ。瑞希に嫌われちまったら、終わりだからよ。」


「好かれることもないですよ!?」




〔★ずうずうしかった★〕





「二度と来ないで下さい!瑞希お兄ちゃんは僕のですから!!」

「おわ!?凛!?」





背を向けている相手に叫び、瑞希お兄ちゃんの首に手を回しながら言った。




「恋人契約も、それ以上のこともしません!瑞希お兄ちゃんを傷つけて、ひどいことするなら、僕があなた達をブッ飛ばします!!」

「凛・・・・!」

「ラブラブだねー?」




ギューとしがみ付く私の頭を、烈司さんが茶化しながらなでる。

何気に、かばうような立ち位置で立ってくれたので、まだ終わってないと思う。





(敵はまだ、攻撃してくる可能性が―――――――!?)




「瑞希。」





大きな声で、こちらを見ることなく田渕が言った。






「念のため言っておく。謝るなら、今のうちだぜ・・・・!?」


(え!?このごに及んで、ファイナルアンサー!?)






敵の言葉にドキッとして、慌てて瑞希お兄ちゃんを抱きしめる。

守るため。




(瑞希お兄ちゃんを、渡してなるものか!)





「・・・・大丈夫、ビビるな、凛。」

「は?」





その結果、私にしか聞こえないような小さな声がした。

そして、抱きなおされたと思ったら、瑞希お兄ちゃんの声が響き渡った。





「この半年間、あんたに謝られることはあっても、俺から謝る道理はねぇ。これが最後だ・・・凛に何かしたら、俺も本気であんたに対処するぜ・・・!?」


「・・・くっくっ!またな、瑞希。」





楽しむような声で言うと、田渕は告げる。







「次会う時が楽しみだ。」







本気の瑞希お兄ちゃんの言葉を鼻で笑うと、渋い顔の部下2人を連れて出て行った。