「さっきすごかったね~」
「ああ!秒殺、生で見たの初めてだぜ!」
「しつこいナンパをしてた奴らを、小学生が守ったんだってな?」
「大人数人KOとか、すげーじゃん?どこ行ったんだろうな~?」
(ここだよ・・・!)
あと、小学生でもない。
自分の噂をする若者たちの側を、空気になるような気持で通過する。
(やっぱり、思った通りだわ・・・・)
逃走から3分後。
現場に戻ったけど、誰も私に気づかない。
(バンダナを取るだけで、こんなに違うんだ・・・・)
人間、特徴がある部分に注目しやすいというが、あれは本当だった。
バンダナをつけた小さい人が、バンダナをはずしたらただの人。
つけていた口元のバンダナを取って、ユータンしてみたが、誰も気づいてる人はいない。
助けた女子高生も、ぶっ飛ばしたタトゥーの男達も、いなくなっていた。
救急車や警察が着た様子もない。
「よかった・・・・」
(よくないけど。)
助ける前とも変わらない街の様子に、ちょっとムカッとした。
世間は冷たいというけど、どちらかと言えば『無関心』だ。
(まぁ、そのおかけで私は助かったけど・・・)
念のため、ポケットに入っていたピンで、前髪を止めて、おでこ全快にしていた。
それだけでも人相、印象が変わるでしょう?
顔が見えるようになったのも、良かったのかもしれない。
(これで一安心!)
辺りを警戒しつつも、ホッとする。
ほどなくして、目的地へと戻ってくる。
「えへへへ~お待たせしましたぁ~瑞希お兄ちゃん♪」
戻ってきた瑞希お兄ちゃんの職場。
烈司さんが先に入ってるかもしれないが、関係ない。
後れを取ったけど、これで心置きなく、瑞希お兄ちゃんと再会できる♪