「怪我はないですか?」

「あ・・・ああ・・・」




私の問いに首を横に振る。

大丈夫らしい。



「よかった。とにかく、ここから早く逃げた方がいい。お家の人を呼んで、迎えに来てもらったて下さい。その方が安全です。わかりましたね?」

「あ・・・」



私の問いかけに、目を見開いたままうなずく彼女。

あまり言葉を発してないが、受け答えができたのでよしとした。




「気をつけてね。」




だから、彼女を残してその場から離れた。

足早に、事故現場(?)から遠ざかる。






(さて、これからどうしよう。)






来た道を、烈司さんのバイクで通った道路の側を逆走しながら考える。

助けたことは後悔してない。

一度はスルーされたけど、助けなかった方が後悔してる。




(見た目で判断されるのは慣れてる。)




仕方ないことなので、良いんだけど~





(よりによって、瑞希お兄ちゃんのお店の前で目立ってしまった・・・。)





おかげで今、瑞希お兄ちゃんのいる職場から一時避難する羽目になった。




(どうしよう・・・私一人ならまだいいけど・・・)





烈司さんがいる。

それも、ナビゲーターしてくれたお方がいるのだ。



(私が瑞希お兄ちゃんと離れて寂しそうだからって、言ったことないからって、職場まで見学に連れてきてくれたのに・・・・)



〔★どちらかといえば冷やかしだ★〕




お店の中で再会を約束したけど、行き違いになってないかな?



(この場合、烈司さんに電話した方が良いかな?)



あのままお店に入ったら、後々でうるさくなりそうだった。





(とはいえ・・・・今すぐ戻るのも目立ちそうで~)




悩みながら、走る私。

女子高生の団体とすれちがった時、そのうちの1人が言った。




「わっ!?あぶね~なに、今のマスク?チョー目立つんですけど?」

(え?)





マスク・・・?

あ、バンダナのこと?

バンダナが、目立つ・・・・?




(・・・・・・・・もしかしたら・・・・)




それで、誤魔化せそうな作戦が浮かんだ。