「ホント、待てよ!冷静に慣れ!絶対に悪い話じゃない!お前、これ見たことあるだろう!?」

「どれ?」

「これっ!」



そう言って腕を見せてくる男。

仕方ないので、それに付き合ってやる。



「遠くて見えません。」

「じゃ、じゃあ、こっち来いよ!」



その言い方で、私も備えた。

攻撃される可能性を考えて。

上げていた腕を下げて歩み寄る。

無謀な振りをしながら近寄った。



「どれですか?」

「これだ!このタトゥーわかるだろう?」



そう言って見せられたけど・・・・



「わかりません。」

「え?」



予想に反し、本当に見せるだけの男。

だから、これ以上話を長引かせるのをやめた。




ドスッ!!


「えはっ!?」



(入った。)



みぞおちめがけて、拳を叩き込んだ。

それで、前のめりになって倒れる男。




「僕、メンバーとか間に合ってるので、結構です。」


(龍星軍のメンバーで総長だもん♪)



〔★知ってれば、スカウトしない★〕




倒れた男にそう言って、背を向ける。




「坊やっ!」



その時、視界に映った女の子が叫んだ。



「危ないっ!」



僕が助けた女の子。




「わかってます。」




彼女の問いに、ひとり言としてつぶやく。






「死ねクソガキっ―――――――――――!!」




ヒュン!

ヒュン!


バキバキ!!


「うああああっ!?」





久しぶりに、舞った。






「あっ!?」


「誰に死ねって?」





両手に持ったトンファーを向けながら聞いた。





「背後から攻撃されないって、思わないわけないでしょう?」





うずくまる男の足元にはバタフライナイフ。

それを足で蹴り飛ばせば、男が顔を上げた。




「おま・・・その武器・・・!?」

「おやすみ、下種野郎。人を見かけで判断するんじゃねぇーぞ?」




ヒュンヒュン、ヒュヒュン!!


ドスンッ!!


「ぎゃうっ!?」





もう一度、トンファーを舞わせる。

鈍い音に続き、最後の1人も地面に倒れた。

今度こそ、確実に仕留めた。

しばらく眺め、起きてこないと確信してから言った。




「だれか、救急車でも呼んであげて下さ~い!」




両手に持った武器を素早くしまう。

投げやりに言って、移動する。

私を見ている野次馬の集団。

その中にいる彼女の元へ。




「お嬢さん、大丈夫?」




カバンを抱きしめて固まっている少女に聞いた。

ボーとしていた彼女の目が、私をとらえる。