やっぱり見捨てようかとも思ったが、『漢』として見た時の私の体格は・・・心細いといえば、心細い。
〔★凛は良い方へ考えている★〕
私の気持ちを知らない女の子は、こちらの気持ちに関係なく言ってくる。
「お願い!断ってるのに、しつこく言い寄られてるの!このままじゃ、さらわれて殺されちゃうよ!」
助けてほしいと意思表示する。
だから、多少失礼なことを言われても助けることにした。
(これが瑞希お兄ちゃんでも、助けたと思うし。)
「わかりました。先に119番しますから、待ってください。」
「それを言うなら、110番でしょう!?大丈夫なの、坊や!?」
「ぎゃはははは!とんだ助け舟だな、おい!?」
「救急車呼んでどうすんだよ、ガキが!」
「いいえ、救急車でいいんです。」
ドヤ顔で訂正してくる相手に、手のひらを突き出し、首を横に振りながら言った。
「お前ら怪我人を、路上に放置したら迷惑でしょう?それなら、救急車で運ばないと。」
「「「「なっ・・・・!?」」」」」
笑顔で伝えたら、男達がまた固まる。
少女も固まる。
周りも私を見つめる。
「まぁ・・・・そこまで痛めつけなくてもいいかな。今回は、119はやめておきましょう。」
受ける視線をすべて無視して、囚われの可愛い子の方へと進みながら言った。
「そういうことなので、痛い思いしたくないなら、その子を離して、さっさと帰ってください。」
「は・・・はあ!?何言ってんだ!?おま、舐めてんのか!?」
「なにふざけたことを~!?誰にものを頼んでんだよ!?」
「消えろ、クソガキ!」
「マジムカつく!一発ぶん殴ってやる!」
そう言って、タトゥー男の1人が、拳を私に向けてきた。
ドクロのピアスをした若者。
「危ない!坊や逃げてー!」
「オラッ!」
(やれやれ・・・『坊や』は確定なのね?)
可愛い子の声と、ドクロピアスの声が重なる。
伸びて来た拳は、顔面を狙ってきた。
だから私は、首を右に動かした。
バシっ!
「きゃあ!?」
「チッ!?」
「いたーい。」
少女が叫び、男が舌打ちをして、私はよく通る声でそう言った。