「よぉ、俺らに文句あるのか?」
「そ・・・そういうわけじゃ・・・!」
「喧嘩でもしたいのか?俺らとしたいのかよ?」
「ち、違う!ただ、女の子をいじめるのは良くないと――――――」
「いじめてねぇーよ!!」
腕を見せた側が、大声出したと思ったら、かなり近い距離で高校生の1人をニラむ。
「オメーら、いじめでもしてるように見えたのか?」
「い、いや・・・喧嘩は良くないと・・・!」
いやいや。
(どう見ても、ケンカじゃないじゃん?)
どんどん小さくなっていく高校生たちの声と威勢。
周りも、遠巻きでこの現場から離れていく。
「ケ、ケンカじゃないなら、いいです。行こうぜ。」
「あ、ああ。電車遅れるし!」
「さよならー」
「え!?ちょっとー!?」
(弱っ!)
戸惑う少女を残し、頼もしい体格の彼らは立ち去った。
(というか・・・逃げた?)
〔★見捨てたとも言う★〕
目の前で起きた納得できない現象。
そう思ったのは私だけじゃなかった。
「な、なによそれ!?それでも男なの!?あんた達―!」
助けられなかった少女が、一番納得できていない。
「オラ!諦めてこいよ!」
「往生際が、悪いんだよボケ!」
「やめてよ!いやぁー!」
可愛い子が叫ぶ。
だけど、誰も近寄らない。
止めない。
助けない。
「ねぇ、あれ可哀想じゃない?」
「ダメよ、かかわったら。4股か5股して男にばれたんじゃない?」
「危なそうだよねー誰かが助けるでしょう?」
冷たい声が通り過ぎていく。
(そりゃあ、なんでもめてるか理由は知らないよ・・・わからないよ・・・だけど・・・)
そんな言い方ないんじゃない?
「離してよぉ~誰か、誰か助けてよぉ!私、何も悪いことしてないのに・・・・!」
冷たい声を遮って、少女の悲鳴がした。
「助けてっ!!」
(泣いてる・・・・)
ボロボロと、頬を染めて泣いていた。
それが私の中で決め手となった。