「占いとかそんなんに頼らなくても、俺らの目できちんと見てやればよかったんだ。」
「烈司さん・・・」
「だから、凛たんのことも見て行こうと思ってんだぜ、俺?そんな顔するなよ。」
「・・・・ありがとうございます。」
にこやかに笑いかけられ、申し訳ない気持ちになる。
「そっちの話はうまくまとまったみたいだが、こちらはどうするんだ、凛道?」
「え?獅子島さん?」
冷静な策士の言葉に振り返れば、不機嫌な顔がドアップになった。
「ど~~~~すんだよ、凛道!?」
「わわ!?円城寺君!?」
眼鏡をかけていない男子が私に迫る。
接近しながら苦渋の顔でわめく。
「烈司さんと手をつないでる場合じゃねぇだろう!?瑞希さんピンチなんだぞ!?瑞希さーん!」
「だよなぁー・・・こうなったら、あたしらで手分けして探すか?」
「うははははは!わし、引っ越したばっかで、土地勘ないんやけどー!?」
「つかえねぇな、おい!どうする、秀!?」
「田渕ってあれだろう?あの噂のある・・・」
「あの噂?なにかあるの、秀君??」
「え!?知らないのか、凛道・・・?」
「そいつには教えとらん。」
「獅子島さん!?」
秀君に聞き返せば、先手を打つように言う頭の良い初代副総長。
彼の言葉に、前にもこんなことがあったと思いながら聞いた。
「教えてないって・・・またですか、獅子島さん!?」
置いてきぼりにされる感覚。
呆れる思いで言えば、彼もため息をつくような顔で返してきた。
「その言い方はやめろ。順番通りに教えていくはずが、計画通りに行かんだけだ。」
「じゃあ、僕に教えるつもりはあったんですか・・・?」
「そうよ~だから凛ちゃん、すねちゃダメよ?」
「モニカちゃん。」
そう言って、私の頭をなでるオネェさん。
「凛ちゃん、さっきの電話は、『くみ』って単語を聞いたんでしょう?」
「え?単語って、名前じゃないんですか?」
「その部分だけ聞けば、『くみちゃん』になるわねぇーでも、残念!人の名前じゃないの。」
「じゃあ、なんですか?」
「田渕の肩書よ。」
「肩書??」
変態ストーカー以外に、どんな肩書があるの??
「くみなんとかって、言う不動産名ですか?」
「不動産屋の社長は、あくまで副業よ。あいつの本業は~」
「本業は!?」
もったいぶるモニカちゃんに聞けば、彼女は仲間と声を合わせて言った。
「「「「ヤクザ」」」」
「・・・・・・・・・はい?」
やくざ?
「凛道が聞いた『くみ』というのは、『田渕組長』という呼び名の一部。言いかけて、やめたんだろう。」
「え・・・・?」
あれ、人の名前じゃなくて、肩書?
(そういう肩書っ!?)
ということは―――――――
「ヤクザぁ!!!?」
〔★さらにイメージダウンした★〕