あたしが凛に声をかける前に、妙なワゴン車が急ブレーキをかけて凛の横に止まった。
「あん!?なんだよ、あれ・・・!?」
「うははははは!故障かのぉ~!?」
「ゆっくり走ってたぞ・・・!?」
あたしの言葉に、同じように顔をのぞかせていた関西人と大河が言う。
(故障?それで止まったって言うのか・・・・?)
「ありえることだけど、なにも凛の隣で止まることは――――――」
ねぇーんじゃねぇの?
そう言いかけたあたしの前で、おかしいことが起こった。
バン!!
「あ?」
ワゴンから、男が数人降りてきた。
降りるのは別にいいけど――――――
ガシッガシッ!
ヒョイッ!
「ああ!?」
凛を取り囲んで、バンダナ越しに布で口をふさぐ。
「凛!?」
そうした上で、体格の良い男達が小さい凛を担ぎ上げる。
「オイ、マジか!?」
「なんだあれ!?」
わっしょい状態で凛を頭上にかかげると、そのままワゴンに乗せやがった。
「り、凛!?」
「うはははは!」
その間、約30秒。
凛がほぼ、無抵抗の状態だったのは、あたしらと同じでびっくりしたからだろう。
「な、なんだよ、ありゃあ!?」
驚くあたしらの前を、何事もなかったかのように通り過ぎるワゴン車。
ブオン!ブブー!!
それも、普通じゃない猛スピードで、逃げるように飛ばす。
「おいおい、今のは・・・!?」
「いくらなんでも、パフォーマンスにしてはタチが悪くないか・・・?」
「せやなぁ~カンナちゃん!凛にお迎えが来るって打ち合わせ、わしも聞いとらんわー!なんやろなぁ?」
「どこからどう見ても連れ去りだろう!!?」
〔★世間では誘拐とも言う★〕