「あいにくあたしは、か弱い女子のカテゴリーじゃねぇし!」
「うははははははは!わからへんでー!オレオレ詐欺に自分は騙されんて言う奴ほど、あっさり騙されてんで~!?」
「詐欺と一緒にすんな!つーか、いきなりは言ってくんなよ、グラサン!」
「つれないのぉ~?」
「うるせぇ!!先行くぞ!」
「あ、カンナぁ!?」
「待て、馬鹿女!」
「おーい、カンナー・・・」
「うはははははっは~そんなに急いで、よっぽど凛に会いたいんかいな~!」
「チッ!勝手にしゃべってろ!」
グダグダ言う男達を放置して、足早に進む。
凛がどこにいるか、わかってる。
あと少しで会える。
もう少し、もう少しで―――――――――――
(あの角を曲がれば、凛に――――――――!)
早かった足が速度を落とす。
(てか・・・・最初になんて言えばいいんだ?)
「久しぶり」は、昨日会ったばっかで不自然だ。
「元気か?」も違う。
悪かった、やり過ぎたって言って、あたしから頭下げるのも・・・つーか、状況読めてねぇ凛が悪いし。
(って、また凛のせいにしちまってるよ、あたし・・・)
「なんや~!急に止まって!?サボり防止のために、先生が監視しとるんかー!?」
「んなわけあるか!?そ、その・・・せっかくだから、脅かして登場しようかと思ってよ~」
「へっ!そりゃあ、いいなカンナ・・・!」
(はあ!?)
誤魔化して言った言葉を真に受ける大河。
「そうしようぜ!いきなり来たお返ししよう!」
「えーの、えーの!しようでしよう!」
「だから、なにになじんでんだよお前は?」
(男って馬鹿・・・・)
凛を脅かしてやろうと、夢中になる馬鹿達。
ため息をついてから、一歩進む。
そして・・・そっと角から凛がいるはずの場所を盗み見る。
様子をうかがう。
「いた。」
単車を止め、自販機の側に立ってる凛が見えた。
「マジか!?」
「どうやる!?」
「わしもわしも!」
「全員声が大きいぞ!俺もだけど!」
あたしの声に合わせ、大河達も抜き足差し足で近寄ってきた。
でも、あたしにはそんなことどうでもよかった。
「あ・・・・。」
「ん?」
パックジュースを飲んでいる凛と目が合った。
「り・・・!」
あいつの目が、一瞬大きくなる。
その後で、にっこぉ~と笑顔になる。
そして、口元を隠したバンダナの中からストローが出てくる。
―カンナさん!―
と・・・・今は、そう呼ばれるのを待つだけとなった。