あまりのことに、本気で動けなくなる。
(まさか泣くとは思ってなかった!?)
こんなごつい男子が、いきなり号泣!?
〔★凛の予測を超えていた★〕
突然のことに、次の行動に移せない。
そうやって固まっていたら、可児君の方から話しかけてきた。
「うっ、うっ!あ、あんたに、あんたに惚れないようにと思ってたのに!」
「えっ!?いきなり愛の告白!?」
「あんたの漢っぷりに、俺は、俺は・・・惹かれないようにしてたのに、かっこよすぎだろう~!!」
「ちょ、怖い怖い!」
ガシッと肩をつかむと、男泣きしながら可児君は言った。
「決めたぜ、凛さん!俺は、龍星軍に入ります!」
「え!?なんで敬語!?」
「凛さん、俺はあんたに惚れたぜ!俺を舎弟にしてくれ!」
「はあ!?舎弟!?なにそれ、お兄ちゃん!」
「えーと、子分だな。」
苦笑いしながら言う瑞希お兄ちゃん。
(子分っ!?)
これに私は、笑えない気持ちで答える。
「ええ!?いらないよ、いらない!なんで子分!?」
〔★凛は子分をキャンセルした★〕
「頼む!俺はあなたの舎弟にしてくれ!助けてもらった恩を返すためにも・・・!」
〔★可児も凛からのキャンセルをキャンセルした★〕
「いやいやいや!いいよ!そういう恩返しはいらないよ!僕、子分がほしくて助けたわけじゃないから!」
「じゃ、じゃあ!クリーニング代のためですか!?」
「それも違うよ!だからその~君を助けたのは・・・」
「助けたのは!?」
「助けたのは―――――――・・・・」
同じだったから。
(私と同じで・・・いじめられていたから・・・)
何度も、助けてと思った。
きっと、可児君も同じじゃないかと思ったから・・・・。
(・・・・とはいえ、同じいじめられっ子だとは、言えない・・・・)
だから、言葉を選んで慎重に伝えた。
「納得できなかったからだよ。」
「なにがすか?」
「僕が見た君は・・・・仲間想いだった。けど、君の仲間は・・・薄情すぎた。不つり合いな友情だったから・・・可児君は友達に対して、何も悪いことしていなかったじゃないか。」
私も、なにもしてなかった。
なのに、いじめられる。
「ひどいじゃないか。」
「・・・凛さんっ・・・!」
私の言葉に、うつむきく可児君。
同時に、声を押し殺しながらまた泣き始める。