「げせんな。」
「え?」
パタンという本を閉じる音に合わせて、そんな声が聞こえた。
「獅子島さん?」
「俺の分析から言えば・・・・・・解せんと言ってるんだ、凛道。」
ハードカバーの本を机に置きながら眼鏡の先輩が言った。
「瑞希の携帯を通しての凛道とのやり取り、現場での凛道と蛇塚の会話、そして可児・・・お前の言葉。」
手当された男を見ながら獅子島さんは言う。
「SHIELDがお前にヤキを入れたのは、SHIELDを抜ける者への見せしめだけではないだろう?」
「え!?抜けるって!?」
「知らねぇのか、凛―?」
驚く私に、カンナさんが言った。
「凛がSHIELDをうちの高校で叩いてから、やめる奴が増えてんだぞ?」
「ええ!?なんで!?」
「・・・ニラミがきかなくなったからだ。」
「可児、君?」
聞き返せば、静かにしていた可児がしゃべりだす。
「凛道・・・・俺も含めたSHIELDが、尾村さんがやられた後、今までSHIELDにやられた奴らがお礼参りに来たんだ。」
「忙しいですね・・・。」
「はっ!そうだな・・・それもあって、あんなガキにやられちまったってことで・・・一気に忠誠心がなくなってよぉ・・・」
「忠誠心て・・・」
「俺はよぉー・・・尾村さんに憧れ、SHIELDに入った。きたねぇ水の中にいたって、綺麗な魚はきれいじゃねぇか?だから、濁った水の中でやってこれた・・・」
「最低なチームだってことは、自覚してたんですね?」
「オメーが俺らSHIELDの敵であることは、間違いねぇ。」
「あ、無視しましたね?やっぱり、自覚してるんですね?」
〔★可児は凛の言葉をスルーした★〕