「もしもし、お疲れ様です。あ、やっぱ、カズ君かー・・・・ああ、やっぱりねー」
呆れた口調で話す瑞希お兄ちゃん。
「わかったよ、わかりました。そうするから、またあとで。」
そして、すぐに電話を切った。
「出勤か、瑞希?」
「ああ、すぐ来いって。繁盛はいいが、人手不足が深刻だ。」
そう言って立ち上がると、私を見降ろしながら瑞希お兄ちゃんは言った。
「悪いな、彼女。ここでお別れだ。」
そんな気がした。
〔★瑞希撤退のお知らせだった★〕
いつもなら、残念な気持ちでいっぱいだけど、今日は違う。
(申し訳ないけど、バレる前に、一刻でも早く離れて頂かないと~~~)
惜しい気持ちを抑えながら言った。
「いいえ、助けて頂き、ありがとうございました・・・!」
高い声で、瑞希お兄ちゃんへとお礼を言う。
作っている私の声に、彼は笑顔で答えてくれた。
「気にしなくていいよ。助けたのは、高千穂って子だから。マジで、困ったらあの子を頼りなよ?」
「は、はい・・・」
うつむきながらうなずく。
「烈司、少し、この子を休ませてから帰らせてくれ。あとで金払うから~」
(え?休ませる??)
「わーてる。早く行けよ。あと、俺はLEON♪」
「なにがレオン、だ?ライオンのくせに、可愛子ぶるなよ。頼んだぜ。」
そう言うと、迷いなく部屋から出て行ってしまった。
「・・・」
(休ませる・・・・?)
瑞希お兄ちゃんが去った後、部屋には私とLEONさんが残される。
(え・・・?烈司さんと二人きり・・・?)
これ、まずくない?
(私、置き去りにされてません?)
〔★本日最大のピンチだ★〕