彼は私としているが、彼のなかでは彼にとって最愛の人を抱いている。

「あ…き…………。」

ほら、また今日も彼女の名前を呼ぶ。
愛生(あき)。
私の親友であり、彼の元カノ。
私は好きな人に親友の代わりに抱かれる。
これが私にとって地獄でしかない。

どれだけ彼女と私が違うことを主張しても、彼は全く気づいていない。
彼は何度、私を身代わりにするつもりなのだろう。
何度、私を殺すつもりなのだろう。

人間の死は2回あると言われる。
1回目は肉体的な死。
2回目は忘れられることによる精神的な死。

私は生きているのに、何度も何度も殺される。
彼は私の存在をなかったものにする。

好きな人とすることはもっと幸せなものだと思っていたが…………。
現実はただ、殺され続けるだけだった。