いつもと変わらない朝。


電車に乗っていれば、女子からの視線と話し声を浴びて。


駅から学校までの道を歩いていれば、もっとたくさんの女子から見られて。


学校に着く頃には、周りに人だかりが出来て。


いつもと違ったのは……手紙。


可愛らしい薄ピンクの花柄の封筒が、下駄箱に入っていた。


予想はついていたから、周りの女子に見られる前に鞄に隠す。


それと、今日は久しぶりに1人で登校した。


いつもは仁も一緒だけど、手紙のことがあったから。




水城優菜。


この間、偶然渡り廊下ですれ違った時、俺は自分の目を疑った。


遥か昔の、でも1度だって忘れたことの無い、思い出。


いつも笑っていた、俺の……大切な人。


見間違えるわけがなかった。


本当は、返事が来ないんじゃないかって、ちょっと不安だったけど。


どうしても、手紙で伝えたかった。


……思い出の、手紙で。