『名前、聞いてもいいですか?』


『板野海生。高一』



春川さんは俺の名前を聞いて『海生、君……』と呟くと、『素敵な名前ね』と手を合わせて微笑んだ。



『私の名前はーー、』


『春川セイラ、だろ?』



俺が名前を知ってることに驚いて、え?と目を丸くする。


『これに書いてあった』と借りてたピンク色の傘を渡すと、『ああ!』とやっと気付いたようだ。


そんな天然な彼女に、クスッと笑みが漏れた。



『傘、ありがとう。風邪引かなかった?』


『全然!私、そんなひ弱じゃないんですよ?』



春川さんは、へへん、と全くない力こぶを見せて自慢気に言う。


ああ、なんで一々可愛いんだ。


マジで困る。


好きだって気付いてから急速に彼女に嵌ってく。



春川さんの笑顔は、彼女の素直さや優しさが滲み出ていて、周りまで笑顔にする力を持ってる。


俺はこの笑顔と彼女の真っ直ぐさにやられた。



ーーー俺の物にしたい。



ーーー彼女の全てを。