暫く走って、駅の近くの公園で足を止めた。
二人して息を上げながらベンチにへな〜と座り込む。
時間にしたら五分弱。
春川さんが着いてこれる速さだったとはいえ、止まることなく走り続けた。
普段運動してる俺でも、流石に息は上がる。
男の俺が疲れるんだから、彼女は相当だろう。だけど。
『ぷっ!あはははは‼︎』
突然、お腹を抱えて笑い出した春川さんは目尻に浮かんだ涙を指で拭った。
『私、こんな走ったの久しぶり。気持ち良かったぁ‼︎』
爽快、と言わんばかりにスッキリした表情の彼女。
本当に不思議な子だ。
普通、意味もわからず手を引いて長い距離を走らされてたら、そんな気持ち良いって笑い泣き出来ないだろ。
『ふ、本当だ。なんかスッキリした』
俺がスッキリしたのは、思いっきり走ったからっていうのもあるけど、一番は自分の気持ちに気付いたから。