当たり前だった景色なのに、何もかも最後だと思うと、さみしくなってしまう。


入学した時はまさか、3年生になって幼なじみの彼が先生としてやってくるなんて、思いもしなかったな。



「日葵〜! おはよ!」


「ひまちゃん! おはよう」



楓と心音。 ふたりと出会えたことだって、奇跡だって思う。


同じ大学に通えるのはすごく心強いな。



「楓、心音! おはよ〜! なんか感傷に浸ってたよ」


「背中からそんな感じ伝わってきてた」


「バレてたか〜」


「あたし卒業証書トップバッターで受け取るの緊張する……」


「そうじゃん、がんばれ心音!」



なんて話しながら、教室へと向かった。


教室はいつもと同じようにクラスメートが話しているけれど、皆どこか浮き足立っている。


〝卒業式〟という特別な日。 一生に何度も経験しない。 



凛ちゃんとの写真のことがあった時は、学校に行くのがつらいと思った。


でもみんな受験があって、そんなウワサをずっとしているほど暇じゃない。 それに救われてあたしも気を強く持てていた。