でも、高校最後の夏休み。
少しでもいいから好きな人と過ごしたいと思うのは、仕方のないことだ。
ーー翌日。
「夏休みにみんなで遊園地行かね〜? ゲストも来るよ!」
楓が話を通したのか、朝一番、クラスの中でも中心的存在な男の子がそう提案した。
まだ担任も来ていない、ざわざわした教室の中で一段と通る声。
「いいじゃ〜ん! ゲストって誰?」
真っ先に反応したのは、男の子と同じグループの女の子。 昨日、凛ちゃんに写真をお願いしていた子だ。
いいね、楽しそう、など、他の子たちからも聞こえる。
みんなノリがいいな……!
「なんと! ゲストは九条先生でーす!」
「え、やば!! 九条先生が来てくれるの?」
「これから声かけるんだよ」
「え〜、なんだ。 でも九条先生来てくれたら女子みんな大喜びだよ」
受験生といえど、みんな遊びたい気持ちもあるようで、乗り気みたいだ。
凛ちゃんも巻き込んで遊園地って、ワクワクしちゃうな……!