「………」

「えっと――うち、あんまり家具ないんだ。」

驚いた。
キッチンはあるのに、ダイニングテーブルがない。
キッチンに使われた痕跡がない。

ダイニングとリビングが繋がっている造りなのに、見たところ電話もないし、棚もない。

のくせ、見るからに高そうな大きい革張りのソファがでーーんと居座っていて、
その前にはこれまた大きなテレビが置いてあった。
でもテレビの置いてあるラックにはそれ以外なにもない。


「ごはん…は……?」

「接待とか飲みとかで、外食がほとんど。」

「そうじゃないときは?」

「帰ったら疲れて寝ちゃう」

「――この近くにスーパーある?」

「…え?」

「スーパーある?」

「あ、ある…。」

「ちょっと行ってくる。秀は寝てて。」

「は、はい…。」