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秀の住むアパートは、駅に近いけどそんなに大きかったり綺麗だったりするわけではなくて。

なんだか少し意外なイメージだった。


「ちょっとここで待ってて。」

とととっと部屋に入っていく秀。
玄関に入り、後ろ手でドアを閉めると、なにかの花の香り。

秀のにおいだ――。

高校の頃、大好きな人の腕の中で薫っていた匂いがそこにはあった。



――掃除機の音がする。

「気にしすぎでしょ」

クスクス笑ってるうちに、また秀が戻ってきた。


「入って。」

「うん。」



気がつくと時計の針は既に5時を指していた。