改めて、目の前に立つ美しい男を見る。

肩を小さく上下させているのは、私に早く会いたかったから?
――ううん、そんなわけない。
そんなの期待してない。
でも、一緒にいない間に、私のことが少しでも頭の中にあったなら……嬉しい、と思う。



「――い。おい、一条(イチジョウ)。
聞こえてるのか?」

秀(シュウ)の声に慌てて上を向いた私は、
話の内容を思い出した。

「え…あ、ああ。どこにしよっか。」

「…とりあえずあちぃから、何処か近くに入ろう。」


秀はスタスタと歩いていってしまう。
だから私たちの間には、一定の距離感。
手を繋ぐどころの話じゃない。

今時は小学生でももう少し進んでいるんじゃないの?