色んな小物を、あれもこれもと手に取る私の後ろで、
秀は黙って待っていてくれる。
ファンシーなお店に静かにたたずんでいるなんて普通の男なら完全に不審者だけど、秀は違和感がない。
というかむしろ売り物よりも目立っている気がする。


「一条…ちょっと別の店行ってていいか。」

「うん。ごめんね待たせて。」

「いや…」


雑貨屋から出ていく秀は、そんなに急いでいるように見えないのに、速い。
足が長いからだ。きっと。


そういえばケータイの番号登録してないや…と思ったけれど、
きっとしばらくしたら戻ってくるだろうと思い、品定めを再開した。