「別にいいだろ? こういうのって俺たちがつくり出したっていう証拠を刻みたいもんじゃん。プラマイの意見、いい案だよな。採用しようぜ」
鉛筆を器用に回して言ったのは、氷川零(れい)だ。日常生活でどんな応用がきくのかわからない鉛筆回しの妙技を持つ。
かなり高度な技もできるらしいが、その妙技とルールを知らない十一朗には、どれくらい凄いのか理解できない。
だから、彼の渾名は鉛筆に関係のない外見からつけられている。
立ち上げた短髪が彼のトレードマーク。激しい運動をしても形が変わらないほど固めているので、『ワックス』だ。
裕貴は自分の思いついた通りを行動に移す、そんなワックス相手に身を乗り出した。
「けど、そういうのって、自分たちの名前を引用するものでしょ? 何も私の名前でなくても。三人の名前を文字ればいいじゃない」
裕貴の訴えを受けて、さすがに「ヒロタカ」案は訂正を余儀なくされた。
創作スランプに陥ったワックスは自慢の髪形を両手で整えながら、都市伝説づくりの主犯の彼を見る。
鉛筆を器用に回して言ったのは、氷川零(れい)だ。日常生活でどんな応用がきくのかわからない鉛筆回しの妙技を持つ。
かなり高度な技もできるらしいが、その妙技とルールを知らない十一朗には、どれくらい凄いのか理解できない。
だから、彼の渾名は鉛筆に関係のない外見からつけられている。
立ち上げた短髪が彼のトレードマーク。激しい運動をしても形が変わらないほど固めているので、『ワックス』だ。
裕貴は自分の思いついた通りを行動に移す、そんなワックス相手に身を乗り出した。
「けど、そういうのって、自分たちの名前を引用するものでしょ? 何も私の名前でなくても。三人の名前を文字ればいいじゃない」
裕貴の訴えを受けて、さすがに「ヒロタカ」案は訂正を余儀なくされた。
創作スランプに陥ったワックスは自慢の髪形を両手で整えながら、都市伝説づくりの主犯の彼を見る。