虫かごを両手でつかみながら、ちょこんとお辞儀した。


山羊のお爺さんは、僕の方をジッと見て、またパパの方を向いた。


「カブトムシは捕れんかったみたいじゃの?」


「えぇ、昨日は子供たちに先を越されて、今日は全然捕れませんでした。息子に捕らせてあげたかったんですけどね…。」


パパの話を聞いて、山羊のお爺さんは黙っちゃった。


もしかして、寝ちゃったのかな?