奥の太い木に歩いていくと、樹液の染み出しているところに、くろいものが見えた。


ゴクッと唾液を飲み込んで、額の汗を手の甲で拭う。


ゆっくり近付いていって確かめたら、立派な角がなかった。


それに、近くでよく見てみたら、背中はくろじゃなくてキラキラとみどり色に光ってる。


「カブトムシかと思ったら、コガネムシだったな。」


「カブトムシのメスでもないの?」